エクステリアにこだわる意味
「インテリア」は誰にとっても、
聞きなじみのある言葉ですが、
「エクステリア」という言葉が一般的に
使われるようになったのは、ここ数年のことです。
インテリアデザインが住宅の内部、
つまり室内のデザインやコーディネートを指すのに対し、
建物の外部空間をどのように活用し、またデザインや機能も含めて
提案するのがエクステリアデザインなのです。
そしてひとくちに「エクステリア」といっても、
門・フェンス・玄関・庭・ベランダなど、
場所ごとにさまざまな工事の方法があります。
とくに昨今のガーデニングブームもあり、
また海外で見た美しい街並みに憧れて、
「自宅をよりきれいに見せたい」という人たちが
急増してきました。
思い起こせば、ひと昔前のエクステリアは、
「外を構える」(外構)工事が主流でした。
隣地との境界を明確化させるために、
ブロック塀やフェンスを作ってみたり、
道路に面した部分については、
高い塀や門扉を設置するような工事が
当たり前とされていたのです。
こうすることによって、道路側からは敷地の内側が
見えないように、隠すスタイルというものが
当然のように思われていたのでした。
ところが、最近は違います。
「敷地の外側から、どのように見えるか」
「敷地の外側に対して、どのように見せるべきか」
このように考えたデザインを希望する方が
増加していったのですが、私は好ましい傾向に
変わってきたと好意的にとらえています。
なぜなら、一軒一軒の住宅の外部環境が美しくなれば、
街の景観デザイン、早い話街並みが美しくなるのは
当然のことですし、その結果、「街」としての価値も
向上してきます。
今、巷で高級住宅地と呼ばれているエリアを、
あえて例に挙げてみますと——。
高層のマンションもなく、ただ戸建だけがズラリと並び、
ある程度の敷地を確保した庭の景観を見ているだけで、
その家の人たちがエクステリアにどんなこだわりを持って
いらっしゃるのか、いくらか把握できるかと思います。
そのため今、主流となっているエクステリアのスタイルは、
「単なる建築物の付帯工事」としてのものではなく、
「質の高いデザインをさらに真剣に考えていかなくてはならない」、
私はこう考えているのです。