人工芝と熱中症

熱中症が全国的に話題となっている中ですが、
人工芝は熱中症が多くなるとも言われています。

これについては残念ながら事実です。

人工芝というのは、天然芝と比較すると、
どうしても熱を逃がす力が弱いのです。

 

植物は日光を吸収してエネルギーを作る、
いわゆる光合成という活動をしていますが、
そのために日光を吸い込む性質があります。

そして、植物自身は体内の水分を空気中に放出し、
その際に熱も逃がす蒸散を行っています。

そのため、天然芝はそこまで温度が上がりません。

しかし人工芝の場合には、
光合成は当然できませんし、蒸散もしません。

そのため、日光は基本的に吸収せずに反射し、
反射できなかった日光や熱は吸収されて
どんどん溜まってしまいます。

そのため、人工芝の芝葉や基布が暖まりやすく、
その結果気温以上になってしまいます。

また、体感温度としてはさらに反射光があるため、
より暑く感じられてしまうでしょう。

スポーツをするような環境では、
気温にプラスして10度くらいの表面温度になることも
決して少なくありません。

グラウンドの人工芝

人工芝による熱中症を防ぐために
最も有効な方法は、定期的な打ち水です。

要するに人工芝に水をかけるわけですが、
それによって植物の蒸散と同じように、
人工芝が水分を蒸発させる中で表面の熱が失われます。

土の庭やグラウンドでも有効な方法ですが、
なぜか人工芝になると忘れられがちですので、
暑いなと思ったら行うようにすると良いでしょう。

そして、可能なら日陰を作ってあげてください。

JFA(日本サッカー協会)でも、
熱中症予防のガイドラインでは
「屋根のない人工芝ピッチは原則使わない」
としているほどで、
それだけ人工芝でのスポーツ環境では、
日陰を重要視しています。

人工芝とプール

 

良質な人工芝ならある程度はマシにはなりますが、
現在のところ製品の性質上、難しい問題でもあります。

人工芝を使用する際には、熱中症対策として
打ち水や日陰づくりをぜひ意識してください。